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これは或るスタジオミュージシャンが
ラジオで話していたものですので、
御存知の方がいらっしゃるかも知れませんが…
家族ぐるみでつきあっていた占い師がいました。
占い師と言うより、
近所のおばちゃんとしてつきあってましたが、
時々
「今度大きな仕事がはいるわよ。
私が力を入れてあげとくからね」
と云われた2~3日後、
CMの仕事が入る、
なんてことが何度かあり、
「さすが…」
と思ってました。
CMの仕事が増えだし、
収入も上がったので、
近くのマンションを買いました。
(中古ですが)
それが始まりのきっかけでした。
まず、子供の体中に湿疹が出来始め、
私も妻もおかしな夢を良く見るようになり、
ぜんぜん眠れなくなりました。
占い師のおばちゃんも心配し始め、
子供の見舞いがてら看に来てくれました。
その時、急に
「子供をこの部屋に寝かせていてはいけない」
と言うなり、
子供を抱きかかえ、
居間の方へ連れて行きました。
そしてまたその部屋に戻り、
「こっちのほうから妖しい気が感じる…。ここね」
と言ってエアコンの裏をさぐるなり、
「前の住人かしら、変なことをして行ったわね」
そうつぶやきながら、
私にあるものを見せました。
それは、
割り箸のかけらみたいなものを髪の毛でぐるぐる巻きにした、
不思議なものでした。
「強い呪いがかけられてるよ。
どうするの。
一番良いのは引っ越すことかもね」
その時、
子供がひどい目にあっているのと、
此のまま引越すのは逃げていくみたいで嫌だったので、
おばちゃんに尋ねました。
「この呪い祓えませんか?」
「少し高いわよ。
それでよければ…
まあ、このおばちゃんに任せなさい」
そして次の日、
おばちゃんはどこから持ってきたのか、
沢山の御札を部屋中に貼り、
ちっちゃな香炉みたいなものの上で護摩を焚いて、
いくつかの呪文を唱え…
「これで、良いはずだけど。
まあ、暫く様子をみましょう」
そう云っていました。
次の日から子供の湿疹は治り始め、
おかしな夢を見なくなりました。
これですべて終わったと、
そう思いました。
おばちゃんに電話でそのことを話すと、
『ずいぶん貰ったから心配してたのよ。
巧くいかなかったら怒られると思って…』
などと喜んでいました。
しかし次の日から、
またおかしなことが始まりました。
朝、玄関の前に、
泥を血でこねたような物で作った丸い物が置いてありました。
そのことをおばちゃんに話すと、
血相を変えてやってきた。
「とんでもないことになったわね。
これからどうするの」
「戦いますよ。妻や子供を守らなきゃ。
手伝ってくれますよね」
「任せときなさい。
出来る限りのことはしてあげるから」
それから、
血の泥団子が置かれるとおばちゃんのお払いをするという、
いたちごっこが数回続きました。
おばちゃんへの礼金も私の年収に近い額になり、
精も根も尽きかけ始め、
どうしようかと思った頃、
おばちゃんが一つの方法を提案してきました。
引越したふりをして相手を安心させ暫く時間を作り、
その隙に対抗策を考えると言うものでした。
巧くいけば完全に引越したものと思ってくれて、
すべて終わるのでは…
そう考え、妻と子供は妻の実家へ。
私は仕事もあるので、
スタジオかビジネスホテル、
あるいは友人宅などを泊まり歩いていました。
しかし、
いつまでもそうしてもいられないので、
10日ほど経った頃、
一旦様子を見るのと、
これからの生活に必要なものもあるので、
家に戻りました。
妻も子供を実家に残し、
これからの事を話し合う為に二人で泊まりました。
次の日、玄関の扉を開けるとそこには、
昨晩までは無かった血の泥団子が置かれていました。
この方法でも駄目なのかと落胆していると、妻が、
「私、見たのよ。泥団子置いている人」
「誰なんだそいつは」
「…あのおばちゃんが、朝早く玄関の前に置いていたの」
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