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いきつけのショットバーには
よく若い男の霊が出る。
特に何をするわけでもなく、
入口から入ってきて3段ほどの階段を下り、
店内をまっすぐ横切って奥の壁へと消えていく。
ただそれだけ。
マスターやバイトの男の子、
俺を始めとする多くの常連客が目撃していて、
最初はみんなびっくりしたが今ではすっかり慣れてしまって、
ああまたかって感じになってた。
出てきてもスルーしてた。
こないだ飲みに行ったら、
席についた途端にマスターが
「聞いてくださいよ」
と笑いながら話してくれた。
マスターが開店準備をしていたら、
いつものごとく男の霊が階段を下りてきた。
霊を無視して作業をしていると、
男の霊が階段を上がって引き返していく。
いつも一方通行だったのが
初めて階段を上がっていったので、
あれ?とマスターが霊の方を見た瞬間、
男の霊が階段の上から見事にバック宙を決め、
きれいに着地した。
思わずマスターが
「おお~!」
と言うと、
男の霊は満足そうにニヤリと笑って、
いつもの壁に消えていったそうだ。
「だからね、きっとかまってほしいんですよ。
あの霊見たら、嘘でいいからびっくりしてあげてください」
いちいちめんどくせーんだよ。
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