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二、三年前のことなんだけど、
うちの会社が潰れかけた。
社内の雰囲気は当然暗いし、
精神病んじゃった同僚とかもいて、
でも部署の関係上、さっと転職することもできず、
不始末の尻拭いばかりに追われて毎日が鬱だった。
ある日、夜遅くに仕事から帰ってきてから、
とりあえずパソコンつけて音楽流してるうちに眠くなってきて、
このまま会社が潰れたら路頭に迷うのかなあ…なんて思いながら、
そのまま床に横になって寝てしまった。
夜中の3時くらいになって目が覚めて、
ふとつきっぱなしのモニター見たら、
見覚えのあるキャラがモニターからじーっとこっちを見てた。
黒髪に着物の侍のキャラクター。
その下には
『案ずるな。存外なんとかなるものだ』
の文字。
驚いてもう一度モニターを見直したら、
起動させてもいないゲームソフトが立ち上がってて、
そのゲーム画面がモニターいっぱいに映し出されてた。
『案ずるな~』ってのは、
メッセージボックスに表示されたキャラの台詞。
で、このゲームってのが、
学生時代に趣味で作ってた同人ゲーム。
自分でへったくそな立ち絵描いて、シナリオ書いて、
プログラムなんか全然わからずに、
ひいひい言いながら完成させたノベルゲーだった。
なんでそんなもんが寝てる間に起動してたのかは知らん。
自分は一人暮らしだし、床で寝てたら、
高さからして机の上のマウスに触ることもないだろう。
もちろん今までそんなことは起きたことなかったし、
もうずっと起動させてなくてゲームの存在だって忘れかけてた。
きっと、ただ偶然、
よくわからない不具合か誤作動かが起きてソフトが起動して、
たまたまその画面が写ってただけなんだろう。
でもその時の自分には、
そのキャラが心配して出て来てくれて、
自分を励ましてくれたように思えたんだ。
深夜だっていうのに一人でモニターの前で泣いてしまった。
なんとかなるから頑張ろうって素直に思えた。
その後、会社は親会社に吸収された。
自分はそのまま社員として何とかやっていけてる。
あれから夜中に勝手にソフトが起動することはないが、
なにか辛いことがあったら、刀を持った侍と
『案ずるな。存外なんとかなるものだ』
と表示されたあの画面を思い出すようにしている。
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