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子供の頃から、
親も間違えるほど似た人が同じ生活圏内にいたらしかった。
だから友達に
「昨日○○にいたね」
と言われることがよくあった。
学校にいるはずの時間に、
ショッピングセンター内の美容室で髪を切っている姿を見かけた!と、
学校から帰宅するなり親に叱られたこともあった。
高校生3年の夏休み、
学校主催の合宿帰りに乗った電車のドア横に立ってた。
それはいつもはまず乗らない路線だった。
駅につくと反対側のホームにも電車が停まっていたんだけど、
そのドアのところで、私そっくりという噂の人をついに見た。
噂通りすごく似ていたけど、
私は奥二重なのに彼女は綺麗な幅広二重、
髪を巻いていて、コンサバファッションで、
自分より綺麗な人だなと思いながらボーッと見てた。
彼女はふと顔を上げ私を見つけると、
すごく驚いたように目を見開いて私を見ていた。
向こうの電車がゆっくり動き出しても、
視線は私から離すことはなかった。
大学生になり、
あの時の路線は大学やバイト先に行くために毎日乗っていた。
ドア横に立って本を読んでいたけど、
視線の端に反対側のホームにも電車が停まったことが見え、
ふと顔をあげた。
私の出身高の制服を着た、
高校生の私がその電車内にいた。
母校は私の学年を最後に微妙に制服が変わっているなのに、
その高校生は当時の制服を着てたんだ。
それに私の学年カラーの襟章と生徒会役員章もついていた。
生徒会は3年生しかいないけど、
その学年カラーの子が本当に存在するなら、
彼女はまだ1年生のはずだから、
生徒会役員章をつけているはずはなかった。
彼女はまるで人形のように、
表情を変えることなく私のことを見ていた。
私が乗る電車が先に動き始めてしまい、
彼女が見えなくなるまで私はその姿を見ていた。
バイト先について更衣室に入ると、
大きな鏡がある。
そこで自分の姿を改めて見た。
巻き髪、メイクで二重にした顔、コンサバファッション…
あの時に見たのは今の私の姿そのものだった
じゃああの子はやっぱり1年前の私ということになるのか…
その日以来、私の生活圏内で
「○○にいたよね?」
と言われたことはない。
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