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友人の話。
彼の実家の床の間に、
古い大きな弓が飾られてあるという。
「そんなに古い物でも由来がある物でもない。
何せ俺の祖父ちゃんが自分で作ったらしいからな」
この弓が時折、
独りでに音を立てるそうで。
「最初に見つけた時は驚いた。
どこからかヒューン、ビューンっていう音が聞こえるんで出所を探すと、
床の間の弓に行き着いたんだ。
寄ってみると弦がこう、ビンビンと震動してた。
まるで見えない指にでも弾かれているようにね」
「現実的に考えると、
何かの震動を拾って共振していると思うんだけど。
こんな山奥の田舎で、
一体何の音を拾っているかはわからんけどね。
家の者は誰も気にしていないんだ。
まぁ元々、実家の裏山に生えてた御神木の枝を掃って作った物らしいし、
御利益があっても悪いことはないだろうさ」
……御神木って何だよ?あぁそういや君の実家って……
……まさか無断で掃ってないだろうなぁ……
瞬時に色々なことを考えたが、
一々確認することはしない私だった。
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