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山仲間の話。
彼が先輩と共に、
とある山に入っていた時のことだ。
歩いていると、
不意に小さく開けた場所に出た。
片隅に古びた祠が苔生している。
場所を心得ていたのか、
「よし、此処で休憩しよう」
と先輩は腰を下ろした。
彼も習って荷物を下ろした。
「ここって、
ちょっと不思議な場所なんだぜ」
水を飲んでいると、
先輩がそんなことを言って、
腕時計を見せてきた。
覗き込むと、
秒針がピタッと止まっていた。
「お前のはデジタルだったよな、
そっちも見てみろよ」
言われて自分の腕を確認してみる。
デジタル表示の数字が、
これまた時を刻むのを止めていた。
「壊れてなんかいないから、
此処から出たら直るから」
先輩の言う通り、
休憩を終えそこを離れると、
時計はどちらも正常に動き始めたのだという。
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