スポンサーリンク
山村で聞いた話。
その集落では昔、
神隠しが多発していたという。
といっても、
隠されていたのは人ではなく自転車だった。
停めていたはずの自転車が、
いつの間にか失くなっていることがよくあった。
狙われたのは大体が子供の自転車だったらしい。
話を聞かせてくれた人は、
グラウンドで野球をしていた時に取られたという。
自転車は、
皆の目が届く開けた場所に停めてあった。
どうやって誰にも見つからずに持ち去ったというのか、
それが今でも不思議だという。
隠された自転車だが、
半月ほどすると必ず持ち主の家の門前に返されていた。
荷籠に山菜や柿などを満載にして。
「この山の主様は、
時々チャリンコに乗りたくなるんだろうな」
村ではそう言われていたそうだ。
- 関連記事
-
スポンサーリンク