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知り合いの話。
実家のある山奥で、
祖父の手伝いをしていた時のことだ。
何処からともなく人の笑い声が聞こえてきた。
・・・ケラケラケラケラ・・・
調子外れで甲高い声だったが、
間違いなく女性のものだった。
何となく、何かを喜んでいるみたいな響きだ。
笑い声を聞くや否や、
祖父が「山を下りるぞ」と撤収を始める。
祖父は作業を途中で切り上げることがまず無かったので、
意外に思ったという。
訝しく思って
「何かあるの?」
と尋ねると、
次のようなことを言われた。
「この奥には、大昔から『笑い女』っていう化け女がいるんだと。
山に入った木樵とか見つけると、
良いものを見つけたと笑い声を上げるそうだ。
捕まると喰われてしまうというから、
サッサと逃げるに限る」
「本当に食べられるの!?」
驚いてそう聞き返す。
「本当のところはどうなのかはわからんが、
お前はこんな山の中で、
嬉しそうに笑いながら追っ掛けてくるモノに逢ってみたいか?」
逢いたくなどなかったので、
素直に祖父に従い下山した。
笑い声は途中まで追ってきたが、
麓に近づくにつれて段々小さくなっていき、
やがて聞こえなくなったという。
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