スポンサーリンク
知り合いの話。
彼の住んでいる集落の山には、
細くて長い農道があるのだという。
そこを歩いていると、
よく自分を失うらしい。
心ここにあらずといった感じになり、
道の上にただ呆然と立ち竦んでしまう。
鳥の声などでハッと我に返ると、
軽く数時間が経過しているのだとか。
その道は、
地元では『マガツジ』と呼ばれているそうで、
一人でいる場合は通らない方がよいとされているそうだ。
「俺、そこは何度も軽トラで通ってるけど、
変な体験をしたことはないよ。
というか皆が言うには、
車とかに乗っていると大丈夫らしい。
いや、用もないのに、
わざわざ歩いて通ろうとは思わないな。
だってそんな体験しちゃったら、
何か嫌じゃないか」
そう言って、
彼は肩を竦めていた。
- 関連記事
-
スポンサーリンク