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ある登山家の話
登山中、
別のグループと出会った。
そのうちの一人は土気色をして、
別の仲間に背負われていたそうだ。
(病気か。
しかし、背負う仲間もずいぶん辛いだろうな)
そう思ったが何もしてやれず、
お先に、とグループを追い越した。
直後、
後ろで悲鳴が聞こえた。
落ちた!
誰かが叫んでいた。
なんてこった!・・・
彼が引き返すと、
遥か下方に、
四肢があらぬ方向に曲がった小さな人影が見えた。
辺りを見回すと、
先ほどの二人がいない。
(足を滑らしたか。
気の毒に。)
彼がその人に声をかけ、
話を聞いたところ、
妙なことが判明した。
滑落したのは一名だった。
具合の悪い者など、
誰もいなかったという。
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