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父と母と娘と一人の召使いがその家に暮らしていた。
両親は一年の三分の一を留守にするほど仕事に忙しかった。
娘の相手さえ出来ないほどに。
その代償として、
両親は娘にぬいぐるみを何個も与えた。
娘はそのぬいぐるみに両親の愛を感じた。
仕事のため家を空け、
お互い会う事すらない日々が続き、
夫婦の間に亀裂が入るのにはそう時間はかからなかった。
娘への愛もいつしか薄れ、
ぬいぐるみを贈るのもただの習慣となった。
それでも娘はそれを愛の印だと信じて疑わなかった。
家にいる時、
両親は娘に辛く当たるようになった。