【じわ怖】じわじわ来る怖い話まとめ

【じわ怖】じわじわ来る怖い話をまとめました!サラッと読めるものの実際起こってしまいそう、後味が悪い、人間が怖い。ふとした瞬間に思い出してしまい、じわじわと来る感覚をお楽しみください。

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【じわ怖】駆け下りる音

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父から聞いた話。

その日、父がテントを張ったのは、
崖?急斜面?(石がゴロゴロしている)を下った所にある水場の近く。

眠っていると、
ガラガラと斜面を駆け下りる音が聞こえて来る。

こんな時間に降りてくるとは大変なこった、
と思いつつ、うとうとしていたが、
音はなかなかやまない。

ああ、結構な人数がいるんだなぁと思いながら、
懐中電灯を持って外に出た。

外に出ると、
他のテントからも顔を覗かせている人がいた。

その人と一緒に、
懐中電灯で合図を送る。

「気をつけろよー!こっちだー!」

と声を掛ける。

男達(女もいたかもしれないが暗くて見えない)は、
岩場をガラガラと音を立てながら下ってくる。

どうも学生の様に見えたそうだ。

立派な装備を持っている。

しばらくして全員が降りて来た。

登山部の学生達だったそうだ。

学生達は

「助かりました」
「ありがとうございます」

と口々に言うと、
水場に向かった。

リーダー格らしき男に、

「今からテント張るの?手伝おうか」

と声をかけると、
男は

「大丈夫です、
本当にありがとうございました」

と微笑み、
同じ様に水場へ向かっていった。

父はしばらくその姿を眺めていたが、
明日も早い事を思い出した。

一緒に学生達を誘導した男性に声をかけ、
テントに戻った。

朝、目覚めてテントを出ると、
学生達の姿がない。

もう出発したのか、元気だなあ、
と思いつつ煙草を吸っていると、
同じ場所でテントを張っていた
初老の男性が声を掛けて来た。

「あなた、昨日の夜、学生さんに会ったかね」

「え?ああ、はい。
夜中に崖を降りる音が聞こえたので。
若い奴は無茶をしますね。
もう出発した様ですが」

と答えると、
男性は

「そうですか」

と言って渋い顔をした。

父は意味が分からず「?」だったが、
しばらくすると、
昨日一緒に学生を誘導した男性が、
テントから出て来た。

「おはようございます」

と声をかけると、
男性は憔悴した顔をしている。

「どうかしましたか?
あの学生達はもう出発した様ですよ」

と言うと、
男性は

「昨日、あなたがテントに戻った後・・・」

と話し始めた。

男性は父がテントに戻った後も、
何となく学生の姿を眺めていた。

学生達は喉が渇いていたのか、
皆で水場で水を飲んでいた。

よっぽど水が飲みたかったのか、
皆、真剣に飲んでいる。

しばらくすると学生達は満足したのか、
水場を離れた。

そしてそのまま、
スーっと崖の方に向かって行ったのだそうだ。

男性は

「おい、もう遅いんだから、
今日はここで休んだ方がいいぞ」

と声をかけたが、
学生達は微笑みながら

「ありがとうございました」
「やっと水が飲めた、満足です」

と言って、
そのまま行ってしまった。

学生達は崖を登って行く。

なのに何の音もしない。

そこで男性は、
この学生達はもう生きていないんだ、
と気がついたそうだ。

ずっと水が飲みたくて、
そして彷徨っていたんだ、
と思うと急に恐ろしくなって、
急いでテントに戻って、
朝まで震えていたと言う

父は

「そんな馬鹿な」

と思ったが、
何か言う前に初老の男性が先に言葉を発した。

「ありがとうございました。
あいつら、やっと成仏出来ました」

初老の男性は手を合わせて、
涙を流した。

詳しく話を聞くと、
初老の男性はあの学生達の中の1人の父親で、
学生達は数年前に、
この山で遭難して亡くなってしまったんだそうだ。

それからと言うもの、
事故が起こった日が近づくと、
初老の男性はこの山に登る様になった。

いつもこの場所にテントを張るが、
真夜中になると
崖を駆け下りる音が聞こえていたそうだ。

男性はその音が聞こえると、
いつも念仏を唱え、
成仏を願っていたと言う。

「そうか、あいつら水が飲みたかったんですねえ。
私は気がつく事が出来ず、
ただただ念仏を唱えるだけで・・・」

と初老の男性は涙を流し続けた。

その後、
父は何度かその場に向かい、
タバコとお酒を供えたそうだが、
もう二度と、
真夜中に崖を駆け下りる音は聞こえなかったと言う。


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