【じわ怖】じわじわ来る怖い話まとめ

【じわ怖】じわじわ来る怖い話をまとめました!サラッと読めるものの実際起こってしまいそう、後味が悪い、人間が怖い。ふとした瞬間に思い出してしまい、じわじわと来る感覚をお楽しみください。

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【じわ怖】もち巾着

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ボクが小学生の頃の事だ。

ボクは冬時になると
何日も続く晩御飯のおでんが好きじゃなかった。

両親と妹、それにおばあちゃん。

何日も同じおかずに飽き飽きしていたのは
ボクだけじゃなかったかもしれない。

ある日、おでんを取り分けてくれた母が

「もち巾着が足りないけど、誰か食べた?」

おでんに飽きてるボク達だったけど、
ボクの家族はみんなもち巾着が大好きだった。

おでん続きの食卓で
唯一のオアシスがもち巾着だった。

そのもち巾着が足りない。

普段は誰もが一個ずつ食べられるように、
おでんが続いても、
一人にひとつのもち巾着だけは追加されていたのにそれが無い。

当時ボクの狭い世界で、
それは大事件だった。

次の日も、
もち巾着がひとつ足りなかった。

その次の日も。

それから暫く経ったある日、
台所で晩御飯の準備をしていた母が
大根をぶった切りしている後ろで、ボクは

「またおでんが来たな」

と思った。

ふと、もち巾着がなくなる事件を思い出したボクは、
母が入れるもち巾着の数を数えた。

5個ある。間違いない。

だけど晩御飯の時間になると
もち巾着は一人分たりなかった。

次の日、
ボクは母がもち巾着を追加するとき、

「明日の分も一個入れて六個にしてみてよ」

と言った。

母は何を思ったのか思案顔で鍋を見つめた後、
ボクが言うとおりもち巾着を六個入れた。

そして晩御飯、
もち巾着は一人にひとつ余りもしないし
足りなくも無かった。

その日の晩御飯は何の事件も無くいつも通りだったけど、
母はどこか「ふふん」と言う表情だったのを覚えている。

次の日、
またおでんが続くんだけど、
母は一人ひとつのもち巾着を取り分けた後、

「辛いのがあったらお母さんのと換えてあげるから、
いっぺんに食べたらダメだよ」

と言った。

当たりは父のもち巾着だった。

父のもち巾着からは何か真っ赤物が出てきていた。

唐辛子だった。

次の日も母は同じ事を言ったけど、
誰にもあたりのもち巾着は無かった。

その次も。

そして、それきりもち巾着が無くなる事はなかった。

ボクは母が入れる唐辛子もち巾着がどうしても食べてみたくなって、
一度試してみたけど悶絶した。

普通の一味じゃない。

唐辛子もち巾着を平気で食べられるのは母だけだった。

あれから、家族で食べるおでんには
必ず唐辛子もち巾着が入っていると
母は隠し味を自慢する。

二回も続けて辛い当たりを引いたのは、
もちが大好きだったじいちゃんかなって今思う。


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